お金の問題
離婚する場合、財産面ではどのような問題があるのでしょうか。
財産分与
離婚をする場合、当事者の一方には相手方に財産の分与を請求する権利があります。財産分与には
- 夫婦が協力して築き上げた財産の清算
- 離婚後の当事者の一方の生計の維持
- 離婚に至ったことについての慰謝料
という3つの要素がありますが、2と3は補充的な要素にとどまります。
財産分与では、基本的には婚姻開始から別居時までに取得した財産を分けることになり、清算の割合は一般的には2分の1となります。そのため、対象となる財産の2分の1程度が財産分与として請求できるのが一般的です。
なお、婚姻前に得た財産や、贈与・相続により取得した財産は、夫婦が協力して得た財産ではありませんので財産分与の対象になりません。
また、財産分与は離婚成立から2年以内に請求する必要があります(民法768条2項但書き)。
慰謝料
相手方に不貞行為、暴力がある場合などに、慰謝料を認められることがあります。慰謝料の金額は相手の加害行為の程度、悪質性、婚姻が破綻に至る経緯などが総合的に考慮されて決められ、100万円以下から数百万まで幅広くあります。また、加害行為を立証できるだけの証拠が準備されていることも重要です。
慰謝料は離婚が成立してから3年以内に請求する必要があります(民法724条)。
養育費
夫婦が離婚しようとも、子どもとの関係では親であることに変わりなく、子どもと同居していない方の親は、基本的には子供が成人(満20歳)になるまで生活費(=養育費)を支払う義務があります。
この義務は、負担者の資力に応じて支払うことになります。調停や訴訟では、養育費の具体的な額が算定表に基づき決められます。なお、算定表は裁判所のホームページで公開されています。当事者が算定表と異なる合意をすることもできます。
養育費については離婚後何年以内に請求しなければならないということはありませんが、離婚と同時に家庭裁判所で決めてしまうことをお勧めします。家庭裁判所で決めれば、支払いを怠った時に裁判所から履行勧告してもらえたり、強制執行することも可能だからです。
年金分割
年金分割には、①合意分割と②3号分割の2種類があり、主な違いは分割の対象となる期間と合意の有無です。詳細は社会保険庁のホームページに掲載されています。
①合意分割は、婚姻期間の全期間を対象とし、それぞれが厚生年金・共済年金の標準報酬の合計額を当事者間で分割し、分割の割合の上限を50%として決めることができます。当事者が合意に至らなかった場合は、調停・訴訟などで決めていくことになります。
なお、合意分割には、あらかじめ社会保険事務所で情報の提供を請求し、情報通知書をもらっておく必要があります。当事者が合意し、または調停・訴訟等で分割の割合を決めたのち、社会保険事務所で分割改定請求をしますが、原則として離婚成立から2年以内に請求しなければなりません。
②3号分割は、婚姻期間のうち平成20年4月以降の第3者被保険者期間について、一律に2分の1で分割するもので、相手方の合意はいりません。また、社会保険事務所に対し分割改定請求を行う必要はありますが、離婚後何年以内という制限はありません。