子供の問題
親権者の指定
父母は子を養育する権利・義務があります。そこで民法では「親権」という制度を設けており、父母には子の身上・財産について権利義務があることを規定しています。
父母が結婚している間は、共同して親権を行いますが、離婚する場合、父母のいずれが今後の親権を行うか決めなければいけません(親権者の指定)。親権者にならなかった親は、子の養育について法律上は権限がなくなってしまいます。夫婦が離婚の話し合いで親権者を決めることができなければ、裁判所での離婚調停・離婚訴訟で親権者を決めることになります。
離婚訴訟で親権者を指定する場合、親の事情・子の事情などを比較して判断されます。「何が子どもにとって幸せか」という観点から判断され、
- 子どもの現在の状況を継続させること
- 乳幼児であれば母親を優先させること
- おおむね10歳以上の子の場合は子の意思
- 兄弟姉妹を分けないことなどが重視されます。
親権から実際に子を養育する権限(監護権)を分け、親権者に指定されなかった親を監護権者とする場合もあります。しかし、この場合、親権者の親と監護権者の親が離婚後に親として子のために協力し合える関係になければ子の養育に支障が出ますので、あまり一般的ではありません。
いずれにせよ、何が一番良いのかという観点が重要となります。
面接交渉
面接交渉権とは、子どもと別居している親が、子どもと面会したり文通したりして子供と交流を持つ権利を言います。面接交渉権は親の権利というだけでなく、子どもの成長にとっても有意義ですので、面接交渉が認められないケースは例外的と言えます。
面接交渉について父母で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停・審判手続で決めることができます。離婚訴訟の中で取決めを求めることはできますが、親権者の指定を譲ることになります。
面接交渉の方法については、例えば月1回面会したり、旅行に出かけたり、手紙・写真を送るなどが考えられます。
養育費
養育費は、未成年の子どもが成人して、自立した生活ができるまでに必要とされる費用のことをいいます。
養育費には、未成年の子どもの生活に不可欠な費用(衣食住に必要な費用)だけでなく、子どもがその家庭の生活レベルに相応した自立した人間として成長していくために必要な費用(学費、学習塾の費用、クラブ活動の費用等)が含まれます。
養育費の具体的な金額については、①父母の収入や、②子どもの必要生活費、③父母の負担能力など、様々な要素を考慮して算定されます。もっとも、裁判実務上は、裁判官及び家庭裁判所調査官が中心となって作成された「養育費算定表」をもとに決定されるのが通常です。